プリズムの煌めきの向こう側へ

二次元アイドル・アニメ・声優あたりの話題中心で、主に備忘用のメモ

Wake Up Girls!

土曜日にニコ生で一挙放送をやっていたので見た。
アイマスラブライブ!、プリリズ、アイカツ!と来たので、WUGもそろそろ見なきゃいけないのかとはかねてより思っていた。ただ、放映当時、2話のアレで見事に躓いて視聴をやめていて、なかなかまた見たいという気にはならなかった。最近twitterで、アイドルアニメ関連でフォローした人で、WUGのアニメ面白いということを度々主張している人を見て、やっぱり見るかーと思っていたところでの一興放送だった。

結果からいうと、面白かった。
っていうか、かなり自分好みのテイストだった。
まあ細々気になる点はあるし、さすがに自分内ランキングで、プリリズやアイマスには匹敵しないのだが、しかし、色々と予想外の面白さではあった。
正直、その意味で、TVシリーズの1,2話はかなりよくない。本来、この作品のもっている方向性とは、別の方向に悪い意味でミスリーディングされる。当時も、3話から違いますよとは言われていたのだが……。

事前に持っている、あるいは通俗的なWUGの要素・イメージ

  • 1話のライブシーンでパンチラしてる
  • 2話で水着セクハラ接待がある
  • 社長が会社のお金持ち逃げしてる
  • オタクが醜い容姿で描かれている。涙目でサイリウム振ってる画像がやたらネタとして貼られる
  • ライバルのアイドルグループI-1が、明らかにAKBグループをモデルにしてる
  • 山本監督が「リアル」にこだわっている

こういった要素から、オタクがあんまり見たくないものを露悪的に描いている。そしてそれを、監督が「これがリアルなんだからちゃんと見ろよ」と煽っていると、そういうようなイメージが持たれている作品ではないか、と思う。
というか、自分がそう思ってた。
でも、全部通してみると、主眼は全然そういうところにはなかった。
そういう意味では、全部通して見た後でも、1話のパンチラと2話の水着セクハラは本当に必要だったのか、というのは疑問に思っている。

実際、どういう話だったか

いくつか、この作品がどういう話かが分かるセリフがあったので、紹介する。
ただ、記憶だけに頼って書いているので、引用符で示してはいるけれど、正確な引用ではなくて大意なのであしからず。
まず、社長のセリフ
「今まで何の面識もなくて、経緯も背負っているものも違う者同士が出会って、それが今では一つの目的に向かっているっていうのが、アイドルの面白いところ」
それから、作詞作曲をしてくれた女性アーティストがWUGメンバーに対して言った言葉
「あなたたち、ちゃんと喧嘩してる?」
これに対して、リーダーのよっぴーは最後の方でこの言葉の意味が分かったということ述べている。
お互いに、アイドルオーディションに応募した理由もそれぞれだし、モチベーションの度合いや家庭環境、過去、抱えている思いも違う。そして、当然ながら、最初の頃はお互いにそういうことを話したりはしてない。でも、やってくうちに、どうしてもそういうことを話さざるを得なくなったり、あるいは話すに足る信頼ができていったりしていく。
「ちゃんと喧嘩」っていうのはそういう意味で、WUGの7人がそういう関係へと成長していく、という話だった。
そして、「ちゃんと喧嘩」できるようになることを描いてる物語なので、ある意味では地味。アイドル活動のきらきらした感じとかは、ほとんどない。
でも、きらきらしていないことにもちゃんと意味がある。
後半のセリフなので、ちょっとネタバレ感もあるが、まゆしぃのセリフにこんなのがある。
「人を幸せにするのには3つのタイプがある。多くの人を幸せにする人、身の回りの人を幸せにする人、そして自分自身を幸せにする人」
元I-1のセンターだった彼女は、しかし、1番目にも2番目にも失敗して仙台に「都落ち」してくるわけだが、そこで3番目のタイプになろう、少なくとも自分自身を幸せにできなければ、1番目も2番目もできないということで、アイドルへと再起していく。
自分の幸せをみつけるっていうのは、それこそアイカツ!にも出てきたし、他のアイドルアニメであっても、各々の登場人物達がどのように自己実現を図るのか物語の中心になっていくという点では同じだけれど、アイドルである以上、それが意識的にせよ無意識的にせよ、他の人たちの幸せとも何となく自然に重なっていくところがあり、それがアイドルもののポジティブさ、華やかさとつながっていると思う。
その点で、WUGのまゆしぃは、一度多くの人たちを幸せにすることを諦めざるをえなかったところから、自分自身の幸せというミニマムなところからやり直すとこから始まるというのが、違う点で、作品全体に影を落とす、というか華やかさとはどうしても距離を取ることになる。
だが、それがいい
まゆしぃと他のWUGメンバーとの関係でいえば、互いに不信や信頼、期待や依存や反発などのあいだで揺れるといった感じだろうか。

作品構成の問題点

これは既に、多くの人が指摘しているところではあるけれど、
何でTVアニメの前に劇場版があって、何でそれ見てること前提でTVシリーズが始まってんだ、ってことに尽きる。
劇場版が1時間くらいあって、そのあとにTV1話がくるのだけど、TV1話には劇場版についての簡単なまとめすらなく、そのまま話がつながっていく。
一挙放送ではもちろん劇場版もこみで流されたんだけど、そうやって見ると非常に自然、というか、尺の長さ的には、劇場版が1,2話で、TV1話が3話かなっていう感じになってて。
放映当時は、劇場版見てなかったから、普通に1話から見たけど、まずWUGの7人が全然把握できなかった。
今回、劇場版から見ると、全く無理なく把握できたので、ほんとに劇場版は超大事だった。
もっとも、放映当時から現在に至るまでに、自分がWUGの声優を半分くらいは覚えたこと、うぇいくあっぷがーるZOOを視聴してたこと、も登場人物把握には影響を与えていたとは思うけど。
とはいえ、うぇいくあっぷがーるZOOも10話見て、結局7人全員の顔と名前を一致させることできなかったけど、一挙放送見たらわりとすぐに覚えられたので、やっぱり劇場版で描かれてた各キャラの顔見せは大事。

あらすじ

(TVシリーズ3話あたりまでは、Wikipediahttp://ja.wikipedia.org/wiki/Wake_Up,_Girls!)がすごく詳しい)
結成→デビュー準備→社長失踪→まゆしぃ加入とデビューライブ
活動継続するかどうかも決まらない→怪しい男にのせられてセクハラ営業→社長復帰
→地元ローカルTVとラジオの仕事→みにゃみの「うんめーにゃー」誕生
→I-1クラブの仙台進出→初ソロライブの散々な結果
→I-1の音楽プロデューサー早坂登場→厳しい練習とあいりへの揺さぶり
→あいりを連れ戻すよっぴーとまゆしぃ、早坂を説得するかや等
→アイドルの祭典への出場決定→気仙沼合宿でかやとまゆしぃが過去を語る
→アイドルの祭典東北ブロック決勝(ナマハゲーズとの戦い)
→アイドルの祭典決勝戦、I-1アリーナという名のさいたまスーパーアリーナ。よっぴーのケガとしほっちのツンデレ

各登場人物ごとの感想

  • 島田真夢(まゆしぃ)

元I-1のセンターで、歌もダンスもうまい、のだけど、どこか暗い感じがずっとある。多分、あんまり笑ったりしていない気がする。元トップアイドルだったわりに、トークスキルとかを見せるシーンもないし。
またアイドルをやるつもりがなかったけれど、あいりが楽しそうにWUGをやってるのを見て、やはり歌ったり踊ったりするのが好きだということに気付かされ、WUGに参加する。
わけだけど、その後も決して全てのわだかまりが解けているわけではない。
例えば、母との関係もそうだし、I-1と同じステージにたつ可能性が出てきたときに、他のメンバーとの違いが浮き彫りになるし。過去を話さないことで不信感をもたれるけれど、隠そうとしていたのではなく、心の整理がついてなかったり等あったのだろうし。
自分自身を幸せにするっていうときの自分自身の幸せとして、明示的に語っているのは歌って踊ることだけど、そこに仲間がいるということが彼女の中では一貫していて、すごくアイドルものっぽい。
彼女がI-1を辞めさせられることになったきっかけは、仲間をかばったからだったし、早坂のあいり切り捨て問題の時も、真っ先に力強く「あいりを切り捨てない」と言ったのもまゆしぃだし、最後によっぴーがケガしたときも「棄権しよう」と何のためらいもなく言い切る。
I-1メンバーとの関係も面白くて、しほっちがツンデレで、よしめぐは変わらない感じでメールとかしてくる。

  • 林田藍里(あいちゃん)

あいりぃぃ!
一番好きなのあいりだな。
まあ、演じてる永野愛理が哲学専攻だってことを知ったことによる贔屓目(?)みたいなのはあると思うんだけどw
7人のなかでは、一番バックグラウンドがない、というか一番普通の女の子。普通の女の子が才能を見出される、というのはある種の王道だが、あいりには才能もない。自分を変えてみたいと思ってオーディションを受けて、やることなすこと全てが初めてなのが楽しくて活動をしている。
しかし、天才音楽プロデューサー早坂から、「向いていない」と告げられる。
彼女はWUGのメンバーであると同時に、誰よりもWUGのファンで、他のメンバーのいいところがよく見えている。だからこそ逆に、自分が劣っていることにも目が向いてしまう。
自分の部屋に貼っていたWUGの写真をはがすシーンで、「辛いとこ投げ出してほっとした感じじゃなかった」という天海春香のセリフが思い出される。
よっぴーとまゆしぃが、あいりを連れ戻すシーンは、よっぴーとまゆしぃの思いも相まって、涙なしでは見れない。
ところで、そういえば、うぇいくあっぷがーるZOOでのあいりの扱いって

  • 片山実波(みにゃみ)

みにゃみ天使!
彼女は、仮設住宅で暮らしてて、そこで民謡サークルにはいっており、東北のど自慢大会で優勝したこともある。仮設住宅のおばあちゃんたちのアイドルでもある。
何でも美味しそうに食べるみにゃみは、テレビのグルメレポート番組で重宝され、そこで「うんめーにゃー」という決めぜりふを生み出す。
「うんめーにゃー」って最初から彼女の口癖なのかなと思ったら、番組で求められた末に苦し紛れ(?)に出てきたセリフだったとは
第3話で、ずっと親しかった磯川のおばあちゃんが倒れてしまった時に、ライブ会場ではなく病院へと向かうが、磯川のおばあちゃんからライブに出るのが一番の薬になると言われて、ライブに出るという話が泣ける

  • 七瀬佳乃(よっぴー)

地元でモデルとして活動していた(東京志向はあったがそこまでの実力はなかったのでWUGに参加)ために、WUGのリーダーを任されている。
とはいえ、リーダーとして何をやればいいのかは分からず、なんとかやっていたが、早坂による「あいりを切り捨てるから、全員クビになるか選べ」という無茶ぶりに対して、ついに崩れる。というか、メンバーが「リーダー、リーダー」って言ってくるのに対してテンパる。
あいりを呼び戻す時に、リーダーと言われても何をすればいいのか分からないことを述べて泣き崩れる。あのあたりが、彼女にとっての「ちゃんと喧嘩」だったんだろう。あと、まゆしぃとのこともあるけど。
そして、最終回のケガ
いやあそこはほんと、リハ中とはいえステージ上になんであんなケーブルがはってんだよ! とか、グリーンリーブスの中に応急処置できる奴はいないのかよ! とか思ったりはするけどw でもベタだけどいいというシーン。
飛びたくなっちゃったんだな、とか。
ところで、最終回のケガについては、うぇいくあっぷがーるZOOの最終回でネタにされてた。

  • 久海菜々美(ななみん)

最年少かつ家が一番お金持ちの子
宝塚ならぬ光塚に憧れており、WUGの活動も光塚に入るまでのスキルアップのための通過点と考えている。
アイドルの祭典出場を目前にして、光塚学校に入るための準備をするからアイドルの祭典には出場できない、と松田に告げるものの、合宿でかやたんとまゆしぃとのやりとりを見て決心する。
この決心以後のななみんがよくて、ダンスレッスンの際にちょくちょくあいりに対してアドバイスするようになる。
これより前に、まゆしぃからダメだしされていたあいりに、テキトーに褒めるアドバイスをしていたのだけど、これ以降はそれが変わる。
あいりは、元々まゆしぃと友達だったこともあって、わりとまゆしぃとセットだったのが、後半ではななみんと一緒に描かれてたりするのが、よい。
よっぴーがケガした後の位置変更の時も、ダンスのことを指示していたりしていた。まゆしぃって、ダンスは上手いかもしれないけど、あいりへの指示をみていると教えるのが上手い感じはしないのに対して、ななみんは教えるの上手いのかなと思った。

  • 菊間夏夜(かやたん)

かやたん、マジいい子! いいサブリーダー!
最年長の高3、バイトを転々としていたがタウン誌の広告をみてオーディションに応募。
なまじ中の人を知ってるだけに、そのギャップにもやられる。すごくクールなお姉さん風キャラクター
要所要所でメンバーをフォローしてるけど、一方で、早坂から出された条件であるUFOキャッチャーに熱くなったり、社長と一緒に早坂をボコろうとしてたりとかも、なんかかわいいw
東京行く時に、荷物がやたらでかいみゅーにみんながツッコミ入れるんだけど、かやたんのポケットに東京ガイドブックが入っているのをめざとく見つけられて反撃されるのもまたよい
気仙沼の出身で、被災直後に仙台に出てきて以来戻っていなかった。まゆしぃとよっぴーがぎくしゃくしはじめた時に合宿を提案するが、自分が帰るためのきっかけとしての意味もあった。
気仙沼のシーンは、こう何も言えないというか。まっさらになってしまった街を見て、きれいになったっていうのとか。幼い頃に親しかった男の子が乗ってた漁船の話とか。
かやたんが自分の過去を話すことで、まゆしぃも自分の過去を話すことになる。

  • 岡本未夕(みゅー)

メイド喫茶で働いてた子
2話のセクハラ営業に耐えられなくなって逃げ出した後、メイド喫茶に戻るが、そこで常連客に応援されてWUGの活動に戻る
その後、基本的には、感情表現の豊かな子という感じのポジションになってて、特に後半、何かとすぐ感極まって泣く、というのがかわいかった。
で、なるほどそういう子かーと思ってたら、東京行く際の荷造りのシーンで映ったみゅーの部屋が、非常に殺風景なボロアパートの一室で、ちょっと衝撃を受けた。キャリーケースは結構かわいい奴なんだけど。父子家庭って設定があるらしいんだけど、そこらへんの話全然なかった気が。