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プリズムの煌めきの向こう側へ

アイマスとかアニメとか声優とかのことを書く、豚になってしまった人間の記録用紙

『トライブクルクル』33話

トライブクルクル33話が神回だったので感想を書きたいのだが、そもそもまずトライブクルクルを知らない人が多そうなので、簡単に説明

 

トライブクルクルは、日曜朝7時に放送している、ストリートダンスを題材としたアニメ

ハネル、カノン、クモ、ユヅル、ミズキのダンスチーム「トライブクルクル」が、世界トップスターのダンサー、ジェイエルに憧れながら、成長していく物語

 

ハネルとカノンは中学生で、この2人の成長物語が軸。クモ、ユズル、ミヅキは、チームメイトとして2人を導くお兄さん、お姉さん的なポジション。

下町育ちで元気ハツラツとしていて、よくもわるくもまだ子どもっぽいところの残るハネル

議員の娘でお嬢様学校に通い、引っ込み思案で高身長をコンプレックスとしながら、家族や友達に隠れ密かにダンスをしているカノン

ふとしたきっかけで、ハネルがカノンを見つけ、ダンスチームを組むことになる。

クモたち3人のダンスチーム「トライバルソウル」とのダンスバトルを経て、5人のダンスチーム「トライブクルクル」を結成。

この初期の頃のストーリー展開、派手さはないのだけれど、丁寧に描いていて一気に引き込まれた。

キャラデザが子ども向けアニメって感じで、深夜アニメ層は一見して避けるだろうし、おもちゃの展開があるわけでもないし、題材はストリートダンスだし、最初の頃はあまり注目されていなかった作品であったように思うけど、じわじわと面白さが広がっていると思う。

5人はみな、ジェイエルという世界的なダンサーに憧れているのだけど、ある時、ジェイエルと同じステージにたつダンサーを選ぶ極秘のオーディション「ダンスロード」への招待状を受け取り、物語はトライブクルクルと、ダンスロードにともに挑戦するライバルたちの話へと移り変わっていく。

ダンスロードを勝ち上がるのは誰なのか、そしてジェイエルの正体は一体何者なのか、ということが今後の展開への興味をかきたてる。

またその一方で、時々差し挟まれるギャグ回のカオスっぷりというかナンセンスっぷりもなかなかのもので、そっちがクセになってしまっている視聴者も多分多いw

それから、ダンスシーンは3DCGで描かれており、こちらもかっこよくて一見の価値あり。

 

さて、33話である。

この話は、カノンが主役となり、彼女の成長が描かれる回なのだけれど、これが単なる成長ではなかった。成長してよかったねと単純に言える話ではなかったということだ。

彼女はある意味で、成長しすぎてしまうのである。

カノンは元々引っ込み思案で、ダンスをしていることを周囲にも隠してきた。しかし、それがハネルと出会い、クモ、ユヅル、ミヅキと出会い、あるいは他のライバルたちなどと関わりあうなかで、変わっていく。学校の友人にも、家族にも、ダンスのことを打ち明けたりもした。

彼女は、自分が仲間からよい影響を受けていることを自覚しているだろうし、仲間に憧れてもいる。ハネルとは衝突することも多いけれど、何より彼女のダンスを最初に見つけてくれたのはハネルだ。また、ミヅキを頼れる相談相手としてよく慕っている。

しかし、彼女は成長しすぎてしまうのである。

 

冒頭から、カノンはみんなとダンスしながら違和感を覚える。みんなを吹き飛ばしてしまう夢を見る。

体育の授業でダンスのお手本をみんなにしてみせる。このダンスシーンが、3DCGではなく手描きで描かれるのだけど、これがとてもかっこいい! カノンが成長しているのがよくわかる。だが、その後、クラスの友だちと一緒にダンスする中で、また違和感を覚える。

彼女の違和感の正体に最初に気付くのは、クモ・ユヅル・ミヅキであり、また彼らのライバルである爆音マシンガンズの3人であるが、まだこのときは彼らはハネルやカノン本人にそのことを伝えてはいない。

彼女に最初にそのことを告げるのは、ワクさんこと涌井さんだ。彼は、ハネルやカノンがダンス練習をしている公民館の管理人さんで、彼らがお互いに出会う前から彼らのことを見守ってきたおじさんだ。実は昔、ダンスをやっていたという過去もある。ただ、ワクさんの伝え方は抽象的であり、よい面しか言わない。

次に彼女にそのことを告げることになるのは、体育の先生だ。しかし、先生はカノンがこれまでどのように成長してきたのかを知らないから、あくまでも、彼女が上手すぎて他のクラスメートとバランスがとれなくなってしまっていることだけを告げる。ワクさんがあえて触れなかったネガティブな面だ。

そしてカノンは、ミヅキに相談を持ちかける。

いつものバーガーショップで、カノンの相談に乗るのは、ミズキ、そしてクモとユヅルもいる。この3人がそろってカノンと話をする、というのは多分珍しい。

カノンは、そして視聴者もまた、この時点では少し勘違いをしている。それは、ミヅキたち3人がカノンよりもダンスの先輩であり、このカノンの感じ続けている違和感に対して、カノンが今直面している問題に対して、彼らが何らかのアドバイスを、突破口を与えてくれるのだ、と。

確かに、3人はいつもと同じような雰囲気で、カノンが成長したということについてカノンに教えてくれる。

(ここで、これまでの過去のシーンが背景にばーっと使われて、カノンがどれだけ成長したか、それはダンスの技術だけでなくて、引っ込み思案だった性格の変化なども含め、これまで33話分の蓄積がぐわっと視聴者にも押し寄せる)

だが、決して今までと同じでないことが少しずつ明らかになる。カノンにとって、頼りになる憧れの女性だったはずのミヅキから、カノンに対して「嫉妬してしまう」という言葉がもれる。

彼らはもう、カノンをダンスの後輩としては見ていない。ダンサーとして同格かそれ以上の存在として見ている。

だからこそ彼らは、カノンのことを優しく、突き放す。

バーガーショップのお姉さんはそのことに気付かず、褒められているんだからもっと喜んだら、などと言うが、カノンは、自分が一緒にいたらトライブクルクルのダンスが壊れてしまうということなのか、と尋ねる。

それに対して3人は何も答えない。優しい表情を浮かべたまま、何も答えない。

ここの3人の表情のそれぞれのアップがよすぎるんだ。

33話が神回であるというのはこのシーンに凝縮されている。

本当に、めちゃくちゃいい大人たちだよ、この3人は!

 

この後、帰宅したカノンは、母親から何かあったのか聞かれて答えるシーンがあるのだが、結局2人がどういう会話をしたのかはこの回では描かれていない。

また、さらにその後、ハネルがカノンに電話をかけているシーンがあるが、やはり何を話したのかは描かれていない。

さらにいえば、先ほどの体育の先生のシーンについても、先生は動揺するカノンに対して、言い方が悪かったからもう少しちゃんと話ををしましょう、とは述べているのだが、結局どのような話をしたかは描かれていない。

カノンのダンサーとしての成長に対しての、それぞれ違う立場からカノンのことを見てきた大人たちのそれぞれの反応が、それぞれにうまく描かれており、なおかつカノンがそれらをどのように受け止めどのように応えるのか、はまだ描かれていない、というあたりも非常にきれいな展開だったな、と思う。

 

とにかく、バーガーショップでの、トライバルソウルの3人がカノンに対して放った言葉、態度、あの一連のシーンが素晴らしくて、本当にここまで見てきてよかったと思った。

 

仲間と出会えて、仲間から教えて貰ったことで成長できた。しかし、成長したことによって仲間からは離れなくてはいけなくなった。

そういうのが描かれるとは全く思っていなかったので、衝撃でもあった。