今月、アイマスからやべー曲が2曲もリリースされてしまった!
というわけで、記事を書かざるをえなかった
Funny Logic
【楽曲試聴】「Funny Logic」(歌:高槻やよい、双海亜美/真美)
こいつぁやべー
アイマスってのは、時々こういう曲をぶっこんでくるからやめられない
内田哲也の「Kosmos,Cosmos」「プリコグ」
遠山明孝(AJURIKA)の「Next Life」
井上拓の「99 Nights」「Hotel Moonside」「Radio Happy」
これら、アイマスのダンスナンバーの系列に連なること間違いなし、というか、この系列を更新してきたやべー曲が、この「Funny Logic」
ダンスミュージックの要素を取り込むアニソンというのは決して少なくはないのだけど、アイマスというかバンナムのサウンドチームはむしろ、そうしたジャンルど真ん中の曲の中に2次元アイドルの歌をぶちこむ、ということをしばしばしてくる。
バックトラックだけ聞いてもそれだけで成り立ってしまっているような奴
「Funny Logic」の間奏とか、聞いてるだけで踊りだして止まらなくなってしまう
しかし、この曲はそれだけじゃない
この曲、双海亜美、双海真美、そして高槻やよいがヴォーカルをつとめているのである!
ここで特に強調すべきは、このかなり攻めてるダンスナンバーに高槻やよいを持ってきたか、と!!
この曲が収録されているDANCIN’ BLUEというCDは、765プロのダンス曲担当といえば絶対に外せない我那覇響、かっこいい系絶対王子の菊地真、何が飛び出してくるか予想不可能な飛び道具双海亜美・真美といったメンバーを取り揃えているのだが、例えばリード曲である「Light Year Song」で歌い出しをつとめるのは、高槻やよいなのである。
まあそれはそれとして、「Funny Logic」とやよい
これが素晴らしいマッチングになっているのが、最高
やよいの声というのは、舌っ足らずな子どもっぽい声であり、この声質を活かそうと思うと、普通はかわいい系の曲や元気系の曲となる。こうした曲はアイマスでも枚挙にいとまがない。
あるいは、あえてかっこいい系の曲に投入して、その甘い声質と曲調とのギャップを楽しむ、ということもある。
これに対して、「Funny Logic」は、普通であればやよいの声質とはマッチしないように思えるジャンルに対して、少し切なげな雰囲気を加えることで、マッチさせてしまっている。
決して、ダンサンブルなかっこいい曲にやよいの声のギャップを楽しむ系の曲にはなっていない
2番Bメロの「絶対コレはいけない気持ち どうしようもないな」に至っては、絶対にやよいの甘やかな声でなければならないだろここは、というレベルでマッチしている。
一方、2番サビの「素直になんてなれないな」なんて、いわゆるやよいの一般的な元気イメージからは離れているのだけど、ローティーンの、まさに素直になれない気持ちを表していて、ここは亜美真美でも伊織でもなく、やよいというのが、本当にやばい
そして、サビに使われている「うっうー うっうー」
これはもちろん、やよいの決め台詞(?)でもある「うっうー」の引用であるが、この歌の中での「うっうー」は、普段の「うっうー」とは音高やニュアンスが違っていて、元々このセリフが持っていたコンテキストから外されている感じがする。
つまり、技法としてサンプリングが使われているわけではないが、サンプリング的に「うっうー」という音が使われているのではないか、と。
これ、「なん なん なんだなかなぁ なん なん なん なんだかなぁ」という、言葉の意味よりも音・リズムを重視した歌詞から連なっているところからも、声が音として音楽の中に溶け込んでいるという作りになっているのだと思う。
さて、この曲の作詞作曲編曲を務めているのが、DJ'TEKINA//SOMETHING
アイマスはおそらく初参加だと思うし、自分は初めて目にする名前だったのだが、検索してみると、ゆよゆっぺの別名義であった。
ゆよゆっぺについても、自分はよく知らないのだけど、ボカロPであり、BABYMETALにもアレンジャーとして参加しており、どちらかといえばラウドロック系のイメージのある人で、「え、こっち系もいけるの?!」というのがとにかく驚きであった。
※追記
これを書いた後、『VOICE Channel』で高橋花林のインタビューを読んで、元々ホリプロの次世代声優アーティストオーディションのファイナリストで、そのあと、ぽにきゃんのオーディションで受かって、遠藤ゆりかとユニット組んでアーティストデビューしていた、というのを知った。
その後、声優になり青二に至る、と。
むしろ、元歌手の人だったんか。遠藤ゆりかも歌うまいもんなー
さよならアンドロメダ
【楽曲試聴】「さよならアンドロメダ」(歌:渋谷凛、森久保乃々、大和亜季)
渋谷凛、森久保乃々、大和亜季による、ダウナーなリキッドファンク
作詞作曲は、もはや説明不要、イノタクこと井上拓
イノタクは、765だと「99 Nights」や「Miracle Night」でかなりシックなドラムンベース曲をものしているが、シンデレラではやはり「Hotel Moonside」や「Radio Happy」あるいは「Romantic Now」といった、アッパーなイメージが強いだろう。
この曲もやっぱり、バックトラックがめちゃいいので、身体が思わず揺れてしまうタイプの曲ではあるのだが、何よりも歌がいい!
いや、イノタクさんの曲は実は(?)どの曲も、ただダンスミュージックで最高にノれるってだけでなく、何より歌としてよいわけだけど
それにしたって、この曲はとかく「歌」で魅せる曲になっている
というか、めちゃくちゃエモい!
切ない系、泣ける系のエモみである
そして、これを支えているのが、何より3人の声優の底知れない実力である。
しかし、上では歌手としてキャラクターの名前を書いた。
そもそも論から話すことになってしまうが、キャラクターソングというのは、多くの場合、キャラクターの性格や心情を歌うものである。
普通のアニメであれば、キャラクターというのは物語中で歌うわけではなくて、キャラクターソングというのは、そのキャラクターについての理解を深めるために視聴者に提供される付加的な作品である。
だから、いかにもそのキャラクターっぽいところの歌となる。
一方、アイマスというのは、そもそもキャラクター自身がその物語世界の中でアイドル歌手であるので、物語世界の中で歌を歌っている。
だから、アイマスにおける歌というのは、いわゆるキャラクターソングというよりは、その世界の中で実際にJ-POPとして流通しているはずの曲、という位置づけにある。
これ、アイマスの中でもシンデレラはやや特殊で、普通のキャラクターソング寄りの曲も多い。個人曲であればその傾向が強い。
一方で、複数人で歌う曲は、キャラクターソング的な要素はあまりなくなる。
そもそも論としてもう一つ
声優による歌と歌手による歌というのは、違いがあるなと思っている。
技術的なことなど全然わからないので、ただ聞いてるだけの人間の印象論を述べると、発声が違うところあるのではないかなと思うし、あと、概して、歌手の方は歌い方に癖をつけることが多いのに対して、声優の方はあまりそういうことはしない。
声優の場合、そもそもの声として独特でありそこで勝負しているということもあるだろうし、また、声優は、職業としてはむしろ「話す」技術を培っているので、滑舌のよさなどが歌でも出ているように思う。歌手だと、歌い方の癖が強くて歌詞が聞き取れないとか珍しくもないが、声優の場合、そういうのが少ないように思う。
もっともこれらは、印象論であり、個人的に感じる傾向に過ぎないが。
さて、これらを伏線として「さよならアンドロメダ」に戻ると
渋谷凛、森久保乃々、大和亜季というキャラクターが、歌手として歌っている歌だ!
というのが、この曲のめちゃくちゃすごいところだと思う。
これを最初に、試聴版で聞いたとき、声優ソングとしては聞いたことない歌だぞ、というのが第一印象だった。
サビの「そう 旅立とう ずっと ずっと 遠くへ」のハイトーンで3人の声が絡まるところなど、特にそうだろう。
キャラクターとしての声の特徴をここまで消して、歌の美しさを重視した声の出し方をしているのは、わりと珍しいのではないかと思う。
また、ここでは特に、高橋花林演じる森久保乃々に注目したい。
といって自分は別に森久保Pというわけではないから、彼女については通り一遍のことしか知らないのだが、それでも感じたのは、この曲は、森久保というアイドルがまさにアイドル歌手として歌っている曲だということだった。
森久保のキャラクター性としては、かなり限界のところまで出してきていると思う。
いわば、森久保を感じられるかどうかギリギリのところで勝負している。
(おそらくそれは、大和亜季にも言えるだろうが、こちらはさらに自分があまり知らないのでちょっとパス)
例えば2番の「願いが形になって叶う場所だと」から始まるパート
「形になって」とか「読んだよ」とか、やばいでしょ
あのニュアンスの作り方が
そして、2番サビ最後の「笑えるかな 笑えるかな」のところは、本当に、森久保として出せるエッジ部分だと思う。
あれ、もう少しいってしまうと、高橋花林の歌になってしまうところで、しかし、一方で決して乃々っぽい声ではない。乃々が乃々として、この曲のこの曲らしさをこめて歌うとどうなるかというところを追求した時に出てくる声になっている、と思う。
キャラクターらしさと歌手らしさとを同居させると、こうなる、ともいえるかもしれない。
キャラクターとして、でありながら、そのキャラクターのらしさとは違う部分を要求する、というのが、恐ろしいことに、アイマスでは珍しくもなかったりするわけだが
それにしたって、こんな歌い方してるのは、ほとんど聞いた覚えがない。
そもそも個人曲として、一番そのキャラクターらしいところはここ、というところをまだ出していない森久保(と大和)に対して、それを要求していて、それでいて、それにきっちり応えてきている声優さんのポテンシャルが、マジやばい
そういう曲です