プリズムの煌めきの向こう側へ

二次元アイドル・アニメ・声優あたりの話題中心で、主に備忘用のメモ

電音部ノベル第2部(3月・4月更新分)

カブキエリアが登場する電音部ノベル第2部
プロローグが2022年4月に公開され、本格的に連載が始まったのは2022年10月、それ以降2023年2月までは月1連載だったのだけど、3月に入ってから隔週連載になっていた。
が、それに気付かず読み忘れていたので、その分を一気に読んだ(6話~9話)
違法DJを標榜し、ハラジュクエリアの美々兎たちや、アザブエリアのモブ生徒たちを再起不能に陥れたカブキエリアの3人組であったが、5話までは彼らが一体何をしているのかはまだ直接的に描写されていなかった。
が、6話からは、アザブエリアのたま、シブヤエリアの美月がそれぞれDJバトルを行い、カブキエリアが何をやっているかが少しずつ明らかになっていく。ここにきて、連続でDJバトルが描かれて、6話~9話は物語がさらに加速していく感じがあった。


カブキエリアが電音部というコンテンツに登場して以来「違法DJ」というキーワードは登場していたが、全く説明はされず、界隈では「違法DJ、とは……?」とという扱いであった。
これが第6話において、賭けDJであることが明かされた。
いや、電音部知らないと「賭けDJ」でもよく分からないかもしれないが、電音部の世界では、DJはSTACK BATTLEという形で競技化しており、DJ同士のバトルが行われ勝敗がはっきり決まるようになっている。
この勝負をめぐって直接金銭のやりとりはしてはいけないことになっているらしいが、カブキエリアはその禁を破って、密かにSTACK BATTLEを賭けの対象としていたのである。
さらに、STACK BATTLEで使われるDJ機器に対して、謎の仕掛けを施しており、メカニズムはまだ明らかにされていないが、賭けDJの敗者は、音楽だけが聞こえなくなってしまうというペナルティを負うことになる、ということが7話以降で明らかになった。
カブキエリアにパーティを荒らされたハラジュクの3人が、その後、零奈たちとの連絡を絶ち塞ぎ込んでしまったのは、これが原因のようであった。
6話でカブキエリアに単身乗り込んだ黒鉄たまは、賭けDJにすっかりのめり込み連戦連勝していたシブヤエリアの大賀ルキアと対戦し、ボロ負けする。たまは、ハラジュクの3人のように廃人化することはなかったが、音楽が聞こえなくなってしまう。しかし、彼女の証言により、アザブ、シブヤ、アキバの面々は、ようやくパーティ荒しへの手がかりを掴んだことになる。
アザブから情報をもたらされたシブヤの瀬戸美月は、アキバエリアの東雲和音を伴い、カブキエリアへと赴き調査を開始する。たまの証言の裏はとれたものの、肝心の賭けDJの現場をおさえるには至らず、歌舞伎町での調査を終えて、ルキアが目撃されたという児童福祉施設へと向かう。しかし、そこで2人はルキアではなく、カブキエリアの摩耶と遭遇する。
和音が止めようとするも、美月は摩耶の誘いにのりバトルを行う。彼女は、たまがルキアになすすべもなく負けてしまったことに奇妙な点を感じていた。2人の実力は拮抗していたはずで、大差で負けるとは思えない、と。美月はその謎を明らかにすべく、危険を顧みずに、バトルを受けたのだった。


電音部の登場人物たちのなかで、頭脳型・秀才型、理詰めでDJを組み立てるタイプとして描かれている美月(と和音)が、摩耶から「頭いいフリやめな」の決めぜりふとともに討ち取られるシーンは、ベタだけどめちゃくちゃキマっていて、読んでて気持ちよかった。
一方、負けた上でも全くたじろがず、少なくとも表面上は全くいつも通りに振る舞う美月がかっこいい。
それは、第1部の冷徹さとも異なっていて、零奈のために自分のやるべきことはした、という矜恃でもあるのだろう。
また、彼女はある意味で音楽を憎み恨んできた半生を歩んできたわけで、音楽が聞こえなくなったことは、ある種の解放といえば解放なのだが、病室の中で、音楽が聞こえなくなったことについて切なさを感じてもいて、これはやはり第2部の美月だからこそ、だなあと思う。
その上で、電話をかけてきた火凜が、美月の様子がいつもと違うことに察するも、それに対して美月が「大したことないわ」と答えるところが、あまりにもかっこよかった。


上の方で、「DJ機器に対して、謎の仕掛けを施しており」と書いたが、この謎の仕掛けに用いられているのが、USBメモリなのが面白かった。
電音部って未来世界なんだから、USBメモリなんてもう使われてなくない? と思ったのだが、読み替えしてみるとちゃんと、昔のデバイスだと書かれていた。登場人物たちはUSBメモリ自体が何であるかはちゃんと知っているようだが、昔の人が使ってた奴だよねーという認識のようだ。


近未来の歌舞伎町であって、設定上、今よりもさらに治安が悪くなっている感じなのだが、しかし、トー横キッズが~などと言われている近年、アクチュアルな歌舞伎町描写なのかもしれない。もう何年も歌舞伎町行ってないし、元々さほど行ったことないので、よくは分からないが。