プリズムの煌めきの向こう側へ

アイマスとかアニメとか声優とかのことを書く、豚になってしまった人間の記録用紙

アイドルコネクトのこと(特に4章・5章)

『アイドルコネクト-Asterisk Live-』という、いわゆる二次元アイドル作品がある。レッドオーシャンと言われて久しいこのジャンルに、とあるベンチャーが2016年に敢然と立ち上げた企画だ。

(それにしても二次元アイドル、レッドオーシャン過ぎて新企画は頭打ちになるかと思っていたけど、今だに続くものたちがいてすごい)

2016年8月26日にリリースされたものの、同年11月30日にサービス終了という、あまりにも短命で終わってしまい、逆にそのことが話題を呼んだゲームでもある。

しかし、シナリオやキャラクターのよさから、一部に根強いファンが残り続け、彼らは「アイコネゾンビ」と自称するようになる。そんなゾンビ活動が実ったのか、その後も、ちびちびとメディア展開が続けられていた。

2017年9月には、サービス終了してから10ヶ月の時が過ぎようとしていたのにもかかわらず、初のリリースイベントが開催された。

そのイベント時に、ノベルアプリの開発が告知される。

そこからさらに時は流れ、いよいよノベルアプリ『アイドルコネクト-AsteriskLive- ADV Edition Vol.01』を手にする時がきた。

2018年6月28日にはAndroid版が、同年8月9日にはiOS版がついにリリースされたのである(泥と林檎の間に何故そんな間隔があいたのかは謎であるが、ゾンビにとってはよくある話である)。

このノベルアプリ、基本的には、2016年に配信していたアプリのシナリオ部分を再録したものとなっているが、一部、未公開部分を含んでいる。

シナリオを見るためだけのアプリなので、買い切りタイプとなっている。

 

というわけで、外形的な説明はここまで。

本題はもちろん、アイコネの物語の話だ。

自分の中でタイミングがあわず、アイコネについてちゃんと書いてこなかったので。

約2年ぶりに、アイコネのフルボイスシナリオに触れて、改めて「やっぱアイコネいいじゃん」となった気持ちを記録しておきたい。

 

個とユニット

アイコネは「個とユニット」の物語だ!

まず、そう宣言しよう。

この作品には、9人の女の子が登場し、3人ずつ3つのユニットとなって活動している。

メインシナリオは、この3つのユニットそれぞれの物語を描く。

ユニットとして、活動の方針を定めていくこと

ユニットの中で、個が突出してゆくこと

それぞれの個が、ユニットを生み出していくこと

個人の個性とユニットの個性が循環していく物語を、アイコネは描き出そうとしている。

メインシナリオは、ユニットごとに展開されているのだが、展開の仕方としては相似となっており、第4章はどのユニットも、3人のうち1人に単独の仕事がオファーされるという筋立てになっている。

以下では、特にこの4章を中心にして、それぞれのユニットの物語について書いていくこととする。



ナチュライ

ナチュライクは、配信済み3章と未公開分を含めて、1~4章までを読むことができる。

マイペース3人が揃った、3ユニットの中でももっともアイドルとしての歩みがゆっくりとしたユニットとも言われている。

自分の最推しである柚木ミユもこのユニットだ。

彼女は、祖母がロシア人のクオーターだが、英語もロシア語も話せず、ばりばりの関西弁ユーザーだ。のど自慢コンテストで歌っていたところをスカウトされた。歌については抜群の才能を持っているが、それ以外ではのんびりしたマイペースっぷり(輪ゴム1本で3時間過ごせる)と、独特の笑いのセンスを持った女の子

泉水つかさは、北陸から上京してきたお嬢様。計り知れない好奇心のかたまりながら、超がつくほど箱入りとして育てられてきたため、ありとあらゆることに興味津々で、時に暴走してしまう子だ。

坂上八葉は、唯一の中学生で、運動以外何も自信がない自分を変えたくて、かっこよくなりたくて、アイドルを志願した。マラソンが好きでストーキングが得意。おどおどしたところはあるが、思い込むと結構強い。つかさとはまた別の意味で暴走タイプなところがある。

つまり、ナチュライクは、超マイペース歌姫、暴走お嬢様、マラソン娘という、どこに行くんだかわからない3人を集めた、ボケとツッコミならボケしかいないユニットなのである。

また、アイドルや芸能活動といったものに一番疎いのもこのユニットである。

主人公であるプロデューサーも、そうしたユニットの特徴を理解しており、焦らず楽しくという方針でユニット活動を展開しようと考えている。

この世界には「アスタリスクライブ」というアイドルの祭典があり、これを目指していくという方向性が示されているのだが、他の2ユニットについては、第4章でプロデューサーから「アスタリスクライブ」を目指すことが伝えられるのに対して、ナチュライクについては時期尚早という判断が下されている。

 

ナチュライクの第4章では、ミユに単独の仕事がオファーされる。

イベントの司会の仕事だが、一緒に組むことになった小学生アイドルとウマが合わない。

イベント中にトラブルが発生してしまうが、つかさと八葉の支援によって、ミユは切り抜ける。

そのようなエピソードの後、4章のラストにおいて、プロデューサーはミユから意外な言葉を聞かされる。すなわち、「アスタリスクライブに出たい」との言葉だ。

ミユは、ロシアに暮らす、言葉の通じない祖母に、自分の歌を聴かせることができたらいいなあくらいの気持ちでアイドルを始めた子だ。

歌うのが好きで、歌については天性の物をもっている。

しかし、アイドル業や芸能界についてはとんと疎いところもあって、どんなアイドルになりたいかというヴィジョンも、どこかすっとぼけたところがある。

そんな彼女が明確に、アスタリスクライブに出たいと、他のアイドルと競い合いたいという希望を伝えたのである。

ソロの仕事が、彼女の中の何かのスイッチを入れたのだ。

ナチュライクは、ボケかツッコミかと言われれば3人ともボケみたいなユニットだ。

ただ、そんな中で、ミユは明らかに、少しずつリーダーとなってきている。本人は「世界で一番リーダーに向かない生き物」だと自分のことを述べるが、つかさと八葉のことを全面的に信頼し、何かあれば自分がフォローすると言い切ることのできる、という一面を持っている。

つかさも八葉も、目を離したらどこへ走って行ってしまうのか分からないところがあるが、ミユはそんな彼女たちの「暴走」をも受け入れてしまうことができる。

その上で、そのミユがアイドルとして目覚めたのだとしたら、それはナチュライクというアイドルが無敵に近づく第一歩に違いない。

 

GARNET PARTY

略してガネパは、衝突を繰り返しながら仲を深めてきたユニットだ。

火ノ前留奈は、幼い頃からアイドルに憧れつづけ、今や立派なアイドルオタクとなっている。とはいえ、アイドルに対する熱意と努力は誰よりも強い。

高花ひかりは、明るく元気でいつも笑顔、周囲の人をいつも元気づけてくれるタイプで成績も優秀。

古風楓は、中学生で見た目も幼いながら、言動はもっともしっかりとしている。あまり感情を表に出さないので、子どもらしくないと言われてきたようなのだが、ガネパの2人からはかわいがられている。

面白そうだなという理由でアイドルを始めたひかりは、楽しく仲良くというノリで活動に参加していた。

そんなひかりと、留奈とは、当初、活動へ向かう動機・価値観があまりにも違いすぎていた。

そのことで互いに衝突し、また何故衝突してしまうのかわからず戸惑ってしまうということを繰り返していた。

 

4章では1人のメンバーが単独での仕事のオファーを受ける。ガネパの場合、それは留奈であったが、シナリオで焦点があたったのはむしろひかりだ。

留奈は、1人別の仕事があるため、長期的にガネパの元から離れる。

ガネパは、確かに凸凹ユニットという形容が当てはまるが、元々アイドルへの強い憧れと動機を持ち続けていた留奈の存在が、アイドルとしての方向付けという意味では、ユニットを牽引していた。

その推進力を、一時的とはいえ、なくしたとき、2人は、特にひかりは、活動する上での道を見失ってしまう。

第4章は、ひかりが覚悟を決める物語だった。

アイドルには応援してくれるファンがいる。そして、ファンからの期待を背負う覚悟が必要だったということに、ひかりは気付く。

相談したくとも留奈は近くにいない。もちろん、電話やメールを通じて、留奈は状況を知っているが、あえてひかりに助言しようとはしない。

明示的に助けをさしのべるだけがユニットの絆ではない。ユニットではなく個人として、大事なことに気付かなければならない時もある。

ひかりはそうしてアイドルとしての覚悟を決めるのだ。

続く第5章では、しかし、留奈もまたその覚悟を問われることになる展開が待っていることが予感されて、4章は終わっている。

 

メモリア

アイコネという作品におけるメインユニットであるメモリア

公開済み4章に加えて、ノベルアプリでは第5章までが読むことができる。

アイコネの顔でもある春宮空子は、人に幸せを届けたくて、ある日突然アイドルを志す。すごくいい子で、まさにメインヒロインといった感じの子ではあるが、異様な乗り物好き(乗り物オタとは別ベクトルの好き)という独特の特徴も持ち合わせている。

瀬月唯は、ザ・青といった感じで、いわゆるクールビューティー系なのだが、本人はその自覚がなく、むしろ可愛いものが好きで、可愛くなりたいと思ってアイドルを志願した。

羽田千乃は、いつも「くたくた」していて、事務所でごろごろしているが、いわゆる天才肌の子で、特に絵を描くことについて才能をもっている。

メモリアの3人の中で、いや、アイコネに登場する9人のアイドルの中で、アイドルとして最初に頭角を現すのが唯だ。

ヴィジュアルのよさから、単独でモデルの仕事のオファーが入り始める。

彼女は、自分が目指したいものと求められているものとのギャップに気付くものの、それを受け入れ、むしろ「やってみたい」と進んでいくことになる。

しかし、メモリアのシナリオにおいて、特にここで注目したいのは、むしろその後の第5章だ。

 

第5章は、千乃にスポットが当てられる。

唯が1人で活躍するようになった状況での、羽田千乃の物語だ。

いつも事務所に居座っていた彼女が、少しずつ事務所から遠のき始める。

彼女はアイドル以外にも、自分の才能とやりたいことを抱えている。彼女はもしや、アイドル活動に飽きを覚え始めているのではないか。

彼女は幼い頃から才能に恵まれていたがゆえに、プライドも高い、ということにプロデューサーも唯も気付いていた。唯ばかりに仕事がある現状が、彼女には不満なのかもしれない。

5章は、千乃がこれまで生きてきた中で持ってこなかった感情を初めて抱き、戸惑い、苦しみながら、その感情を伝えるまでの物語だ。

そしてそれは、実は飽きや不満などではない。

これまで、溢れる才能故に、ひとりで生きてくることのできた、ひとりでも全然かまわないと思ってきた彼女

なんでもできると信じてきたし、なんでもできるとカッコつけて生きてきた

しかし、空子と唯と出会ったことで、彼女のこれまでの生き方が揺さぶられる。

それは、幼い全能感に別れを告げる、という普遍的な経験でもあるし、初めて感じた寂しさを口に出すことでこれまで保ってきた余裕しゃくしゃくの「自分」を崩す、という特別な経験でもある。

普通ならなんてことない言葉が、千乃にとっては口に出すのに大いに勇気がいることで、ふり絞るように声をあげる、本渡楓の演技がとてもよい。

これまでどこか浮世離れしていた千乃の、生の感情が一気に露呈する瞬間が、本渡楓の声にこもっていて、とても説得力があるシーンになっていた。

でもって、5章は、そんな最大級の「感情」のこめられた5話のあとに、メモリア3人の関係のあり方が変わった甘々な6話が突っ込まれる。

「し、死ぬ……」ってなるので、これから見る人は覚悟してほしいw

 

言葉にすれば こんな絵よりも早いけれど

 (羽田千乃「Pastel Graph」より)



キミは黒? キミは白? 笑顔うかべてその手つかむ

楽しいの? お宝もみんなあげる あげる

(羽田千乃「Colorful gift」より)