8beat Story♪ 怒涛のシナリオ公開が続いており、7月下旬に公開された第11章の続きにあたる第12章が8月7日に公開された(なお、8月8日はエビストの日)
メインシナリオとしては、第11章と第12章がセットで一つの物語となっている。
さらに、8月10日には、2_wEiシナリオの第3章が公開された。
どっちの話も、面白い!
エビスト天才!
こんな人に読んでもらいたいエイトビートストーリー(08.16追記)
2_wEi3章のあるシーンについて、自分もブログで「これ思いついた奴、悪魔か」って書いたんですけど、ある人が「こんな仕打ち、小林靖子くらいしかしない」って感想書いてて、こんな強い褒め言葉他にないな、と思った
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 16, 2019
小林靖子並のキャラクターへの仕打ちを見ることのできる二次元アイドルコンテンツ「エイトビートストーリー」
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 16, 2019
このキャッチコピー、絶対刺さる人には刺さるでしょw
エビストのことまだ知らないけど、エビストのストーリーを読んでほしい層って、「小林靖子くらいしかしないような仕打ち」で釣られる層だと思うんだけど
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 16, 2019
追記ここまで
12章はSF
ほブさんの「エビ2049」
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
いやー、エビストってやっぱSFなんだよなあ
ロクサレーヌもあいつ一体何者なんですかね
表紙がとてもかっこよくて、よいです
このツイートは、夏コミで買ったエビスト同人誌に対する感想なんですが、エビストってSFなんですよ
まあ、もともとアンドロイドとかが出てきているのでSFなんですけど
主人公グループであるハニプラの中には、未来からやってきたアンドロイドであるメイちゃんというメンバーがいて、彼女の目的は、人間の音楽が失われてしまった歴史を改変するためにやってきているわけです。
で!
実際に、歴史は変わりつつある。
エビストの頭おかしいところは、この、一番最初に歴史が変わった分岐点であるエピソードを、何故かゲーム内のシナリオとしては実装しておらず、リーディングイベントという朗読イベントで披露しているところ
このイベント、映像化とかもされていないはずなので、参加者しか知らない
このブログ記事を書いている能登川さんが、台本の写経を最近してくれたおかげで*1内容を知ることができたのですが、メイがきた元々の歴史では「ヒューマンサイドの大敗北」とされていた出来事が、回避されたという話です
で、12章で改めてはっきりするのは、メイがきた元々の歴史では、「ハニプラ」は8人ではなかった。メイはもちろんおらず、また、ひなたと鈴音が参加していなくて、5人のユニットだった。そして彼女らは2_wEiに敗れた、と。
ひなたが参加することが、ヒューマンサイドを勝利へと導くカギだとメイは考えている。
けれど、第11章では、ひなたが「音楽で戦う」ということに疑問を感じて、ついには声が出なくなってしまったわけです。
で、このひなたが再びハニプラに戻ることになるきっかけが、メイが持ってきた音源
これ、ひなたのソロ曲なんですが、この音源がどういう経緯か50年後のメイの手に入っていて、メイはこの歌を聴いて感銘を受けている(おそらく、彼女が人類の勝利にひなたが必要だと考えている理由は、この音源)
そして、このノイズまみれになってしまった音源で自分の歌を聴いて、ひなたは自分の「音楽が好き」という気持ちを思い出す、と。
1つの音源が、メイのタイムトラベルを通じて、過去と現在と未来をつなぎ、それぞれ「音楽が好き」という思いを想起させるアイテムとなっている、というのがなかなかにSFな仕掛けになっていて、よくないですか?!?!
12章のトランスメディアっぷり
とりま、この記事を読んでいただくと、単にシナリオを公開している、というだけでなく、そのシナリオが他のゲームイベントなどと連動している、と言うことが分かるかと思います。
ここでは、一つだけ
二次元アイドルものでは、実際にキャストである声優側に起きた出来事などをフィクションの中に組み込む、という仕掛けをすることが時々あるわけですが、エビスト12章における仕掛けは、あまりにも天才的
彼女たちのユニット名「8/pLanet!!(ハニープラネット)」は、鈴音役の吉井彩実さんが命名したんですが、作中では、この名称については出てきていませんでした。
12章において、ついに、ユニット名が決まるシーンが出てくるのですが、命名したのはやはり鈴音
当たり前ですけど、しかし、CVは天野さんなわけですけど、このタイミングでハニプラ命名のエピソードをもってくるの天才的だと思います
12章ツイのログ
12章読み終わったわけですが、ひな鈴!!!!!
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 8, 2019
12章とにかくひたすらひな鈴でした
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 8, 2019
声を失ったひなたの、声にならない声が最初に「聞こえる」のが、他ならぬ鈴音だというの、ベタなんだけど、だからこそいい
第12章は、ひなたが思い悩んで成長する話だけれど、一方で、鈴音もまた成長する話でもあって、それがずっと一緒だった2人が離れたときに起きる、というストーリーになっているもので、「ひな鈴」なんですよ
……離れている時に成長する、ガネパでは?
でもって、メイちゃんもよかったし、アルミさんもよかったし、彩芽もよかったなー
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 8, 2019
自分がほたる好きだからというのもあると思うけど○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ https://t.co/J8BfbKGbHQ
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 8, 2019
自分がほたる好きだからというのもあると思うけどひなたが自分の歌聞いて最初の気持ちをもい出すのと、ほたるがかなでを通して最初の気持ちを思い出すの似てるなと思った。過去の自分の音楽が今の自分の背中を押す
それにしても、ほたるはいい子だ
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 8, 2019
エビスト、そもそも、歴史を変えるためにタイムトラベルしてきたアンドロイドが出てくるという、ターミネーターみたいなSFなんですよね、シナリオが。二次元アイドルものと思わせつつ、SF
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
それでいて、二次元アイドルジャンル的な、キャスト側・現実側で起きた出来事もフィクションの中に組込む上手さ
2_wEi第3章
ハニプラのメイちゃんの物語が、失われた未来を奪い返すために過去へやってきた物語だとすると、
2_wEiの2人の物語は、失われたものをどのように受け止めて未来へ進んでいくかという物語
本当に、2_wEiの物語で扱っているテーマは重たくて、いや、こういう話好きな人はほんと早く読んで
2_wEiは、生みの親である天才プログラマー虎牙優衣を既に亡くしている
このことが彼女らのいう「絶望」の根源なんだけれども
改めて失ったことによるショックの受けたかが、アルミとミントでは少し異なっている。
2_wEiは、アルミが姉でミントが妹なのだが、完成したのはミントの方が先で、そのため、ミントは生前の優衣のことを直接知っている。
アルミは、優衣のことを直接知らないがゆえに、彼女への執着も強かったのだけれど、彼女の人格データが残されていたPCを(人格データが残されていたとは知らずに)破壊したことによって、ある意味で、喪失への決着をつけることができた
一方、ミントは、自分だけが優衣との幸福な記憶を持っている、ということに負い目を持つようになる。姉のアルミも本当なら優衣との思い出が欲しかったはずなのに、自分だけがその思い出を持っている、と。
第3章は、優衣の喪失に踏ん切りをつけて未来や外部へと目を向け始めたアルミと、そんなアルミに対して負う必要のない負い目を抱え込み思い詰めるミントという対比によって始まる。
「親」の死をどのように受け入れていくか、ということ自体も重いテーマだと思うのだけど、ミンちゃんの抱える負い目というのがまた重い
彼女は、研究員がいう優衣を復活させる可能性に賭けて、自分の中にある優衣の記憶のサルベージ作業を始めるのだが、その際に、ありえたかもしれない幸福な未来という悪夢を見る、というのが、本当にすごいシナリオだと思う
夢の内容が幸福であればあるほど、見る者にとって悪夢になってしまう、という逆説的な構造を思いついた奴、悪魔かよ、と思う
そして、12章のことを考えると、ありえたかもしれない未来をつかみ取るためにタイムトラベルしてきたメイと、ありえたかもしれない未来を喪失したことを抱えて生きることを決意した2_wEiという、すごい対比にもなっているんだなー、と。
3章ツイのログ
2_wEi第3章読んだ! 読みました
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
はあ? エイトビートストーリー天才か!
っていうか、見に行く予定のないライブに、めちゃくちゃ強い意味を持たせやがって!
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
今度8月15日にnano と2_wEiの対バンイベントがあって、2_wEiの新曲である「Heart 2 Heart」の作詞がnanoだから組まれたものだと思われるんだけど、これ当初は、リリイベとかそういう、プロモーション兼ねたサービスイベントかなと思っていた。
もちろんそういう側面も大きいとは思うんだけど、第3章の最後で、2_wEiの2人は、自分たちは人間のことをまだ全然知らない、自分たちの狭い世界でしか生きていなかった、もっと大きな世界へと出て行って、2_wEiが歌う意味を探していこう、と話し合って終わるんですが
nanoとの対バンってつまりそういう?! となる
エビスト、元からすごいシリアスな話やってんで、そういうの好きな人にはぜひ見てほしいんですけど、2_wEiはほんとテーマが重い
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
でも、その重いテーマの中に、光が見えて、2人が先へと進みだせた感じになっていて、3章よかった
H2Hは、リリース当初から、2_wEiの成長・変化を感じさせる歌詞だったけど、3章を完全に反映させていたことがわかってやばい
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
「Heart 2 Heart 」は歌詞の中で、狭い世界だの広い世界だの歌っていて、第3章のラストそのまま
3章で○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ https://t.co/qDVh5bZkLy
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
3章で優衣と2_wEiのスリーショット見て、nanoさんと2_wEiのスリーショット写真を想起していた。いや、ポーズとかは違うけど
3章、野村さんの声と演技がめちゃくちゃよかった。よくなってた。森下さんもだけど。
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
アルミさん、お姉ちゃんだったなあ
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
ミンちゃんの違和感に気付き、ミンちゃんが目覚めるまで必死で声をかけつづけたアルミさん。マジお姉ちゃん。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○アルミさん、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。そして、ミンちゃんに○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ https://t.co/EehI5DZaEA
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019
声を届ける、ということに意識が向いたアルミさん、ひなたの想いをどのように受け取っていたのだろう。そして、ミンちゃんに声を届けたからこそ、あの時、ひなたの声を聞くことができたのかもな
第3章で、2_wEiは、ファンレターを受け取ったり、道端でファンに声をかけられたりする。当初、ファンのそういった声に全く興味を示さない2人なのだけど、それでも、人間というのはどうも声を届けたがる生き物のようだ、ということが分かり始める。
そして、「音楽を使って声を感情を届けたい」というのが、ひなたとハニプラのモチベーションで、第12章はこのモチベーションを再び意識することで、ひなたが声を取り戻すという話だった。
追記(20190816)
エビスト12章改めて思い返してみて、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というラスト、とても見事なんだよな。 https://t.co/mNESZjmL42
— シノハラユウキ (@sakstyle) August 16, 2019
エビスト12章改めて思い返してみて、気付いたら2_wEiが立ち去っていた、というラスト、とても見事なんだよな。
2_wEiとハニプラはもはや激突してどっちかが負けるまで戦うしかないのではないか、と思っていたところあるから、それを回避したという点でまずよいんだけど、それが、勝負が引き分けになるとか、負けるんだけど何かの形でバンを免れるとか、そういうんじゃなくて、知らぬ間に2_wEiが立ち去っていた、というのが上手い。
12章では、何故2_wEiがあのタイミングで立ち去ったのかはよく分からないし、ハニプラ側に至っては本当に分からないと思うんだけど、2_wEi第3章を読むことによって、読者側は少し推測できるようになる、というナラティブも上手い
(公開順と作中の時系列を入れ替えるて実はこういうことだったと分からせるの、いわば解決篇であって、物語のテクニックとしては基本的な奴ではあると思うが、それをわかりやすく出せたのは、本編と2_wEi編の2つに分かれていたからだと思う)
いやそれで、自分はnanoさんと2_wEiの対バンライブ見に行ってないのでアレなんですけど、ハニプラとのライブバトルから立ち去ったあとの2_wEiが向かった先が、nanoさんとの対バンだったとすると、エモいな、と
(もちろん、12章とnanoさんとの対バンライブとの間には、フィクションと現実、2031年と2019年という大きな隔たりがあるわけですが、とはいえ、対バンライブに出てたのは、アルミとミントなわけだし、そもそもそういうつながりを錯覚させるあたりに、エビストの、ひいてはこのジャンルの面白さがある。ナナシスは、ライブ開始時に2034年へのカウントアップを行うことで、この隔たりをつなげてしまうけれど、エビストというか2_wEiは、キャストとしてのMCを行わないということで、同じことをやっている。ある意味では12章からこの対バンライブ、物語の上でも繋がっていると言ってもいいはず)
12章のラストで2_wEiは、ひなたの声が届き、音楽で戦うことではなく、音楽で届けることをやった方がいいのではないか、ということにおそらく気付いて、立ち去ったのでしょう。でも、まだ彼女たちは何を届ければいいのかはちゃんとは分かっていない(ひとつには「絶望」なんでしょうけど)
で、ヒューマンとのライブバトルなのではなく、ヒューマンとの共演によって、自分たちに届いた声、自分たちが届ける声が何かを探ろうとしてるのではないか。だから、バトルの場であるハニプラとのライブからは立ち去った。でも一方で、それを探るためにnanoさんとの対バンライブを選んだ。
Frontal Crashというタイトルすげーなと思うの、このタイトルから事前には、バトルじゃんって印象を受けるんだけど、でも、事後的には、「正面からぶつかり合う」という意味ではあるけど、決してバトルではないんだろうなーという風に理解が進むのすごい
まあ、ライブ参加していない人間の想像なので、実際にライブ行った人で「あれはバトルだったよ」というのがあれば取り下げますが、実際に行った人たちの感想を見るに、多分あってるはず
ということを書いたら、実際にライブに行っていたモッタキさんの下記のツイートが目に入った。
「AGAINSTではなくUNITED」なるほど
Frontal Crash という対バンのタイトル、両者ともMCで「私達にぶつけてきてください」という旨を述べていたし、ナノさんも事前に「AGAINSTではなくUNITED」とおっしゃっていたわけで、ぶつ狩り合うのはステージ上と客席なんだってのがあらためて了解できる形になっててとてもよかったなって
— モッタキ (@Madbassa) August 16, 2019
*1:近いうちに消すと言っていたのでリンクははりません