プリズムの煌めきの向こう側へ

二次元アイドル・アニメ・声優あたりの話題中心で、主に備忘用のメモ

ガルラジと「つぶやき」2

ここまで、わりとコンテンツの外側というか建て付けというか、そういうものの話しか書いてなくて、内容について書いていなかったので、それについても少し。

 

成人の日前後の「つぶやき」について

チーム徳光

まず、チーム徳光の手取川海瑠

成人の日の前日に、明日は母親の店の手伝いをするからつぶやけない旨の投稿がなされる。

彼女の母親は美容師なのだが、母親の美容室を番組中にCMしており、リスナーはそのことを知っている。

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ただし、仲良し親子なのかといえば、そうではない。海瑠は、地元の金沢を離れ有名になりたいと思い、ガルラジに応募した中学2年生。彼女にとっては、母親もまた、ダサい地元の一部であり、ダサさへの忌避は、番組中でもこぼれている(親の店のCMをさせられるなんてありえない、と)。

また、これは小説の方に書かれていることなのだが、実は彼女の母親は、美容師になる前は有名なラジオパーソナリティだったようである。

海瑠にとっては憧れの職に就きながら、それを辞めて地元の美容師になってしまった母親のことを、海瑠は理解できないが、第2回の放送終了間際に、少なくともパーソナリティーであった頃の母親に対して共感の端緒があったようなことを漏らしている。

そうした流れを受けた上での、明日、母の店を手伝いますというつぶやきなのである。

そして、実際14日(成人の日当日)に彼女のつぶやきはなく、15日に再びつぶやきが再開されている。

 

チーム双葉とチーム岡崎

成人の日の前日ないし当日の昼頃に、チーム双葉の玉笹三姉妹のうち末の妹である花菜が、「来年はみーちゃんとのーちゃんが成人になる」旨をつぶやいている。

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みーちゃんとのーちゃんというのは、花菜の姉にあたる、玉笹彩美・彩乃の双子のことである。

その上で、成人の日の夜に、チーム岡崎が、「チーム双葉の二人が今年成人」というつぶやきをする。

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春花は、チーム双葉の二人が成人に近い年齢であることは知っているが、正確な年齢を知らず、なんなら彼女らの「つぶやき」も見ていなかったわけだが、さらにその後、桜泉真維が、彩乃から成人式は来年であるとDMで言われたということをつぶやく。

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ここから、この「つぶやき」SNSには、DM機能があり、チーム間でそれを送ることが可能、玉笹姉妹はほかのチームのつぶやきも見ていることがわかる

というわけだ。

このことについては、下記のふら_おさんのツイートを参考にした。

 

 

 

二兎と年魚市

ところで、こうした他チームへの言及があると、考えたくなってしまうのが、二兎と、チーム富士川の年魚市(あゆち)すずとの関係だろう。

そもそも、ガルラジの5つのチームは、愛知、静岡、石川、山梨、三重とそれぞれ別の場所で活動しており、基本的には、互いに面識もない。

その中で例外なのが、二兎と年魚市だ。年魚市は、チーム富士川、つまり静岡在住なのだが、出身地は愛知県岡崎市である。そして、小説を読むとわかるが、この2人は実はかつて同級生だったことであり、今回、ガルラジという企画が行われるにあたり、ライバルチームにかつての友人がいることにそれぞれ気付いている。

現時点でこの2人はまだコンタクトを取り合っていないが、今後、何らかの形でそのような展開があることは予想されるだろう。

また、「つぶやき」を見ていると、この2人はともに第3回放送で、つまづきを経験したことがわかる。

学校の放送部としての活動もガルラジも、友達同士で楽しくやってきた二兎は、楽しいだけではダメなのだろうか、という問題に立ち止まる。

一方、ラジオパーソナリティーになることを夢見て、高校生ながらすでに高いプロ意識を持つ年魚市は、自分のコーナーが同じチームのほかの2人のコーナーに比べてリスナーの反応が悪いことにショックを感じている。

果たして2人はこれらをどのように乗り越えていくのだろうか。

 

とかいう記事を準備している最中に、こんなつぶやきが現れてしまった!

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「つぶやき」のリアルタイム感

例えば、チーム富士川の白糸によるこの「つぶやき」

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同じチームのほかの2人に動画を紹介し、その後、2人からの反応がなかったらしいことがわかる。

この二つの「つぶやき」の投稿は、時間をあけて行われており、リアルタイムでこのアプリを確認していると、白糸が2人の反応を待っていたが得られなかったんだな、ということがわかる。

しかし、タイムスタンプがないために、あとから見た人には、この時間感覚はおそらく伝わらないであろう。

また、つぶやきの削除も行ったことがあるようで、リアルタイムで追わないと楽しみ尽くせないような仕掛けがなされている

  

 

ガルラジは、全6回が予定されており、今まさに第3回まで終わるかというタイミングで、はやくも折り返し地点に達している(5チームを2週に分けて放送しており、先週、岡崎と富士川の第3回が放送され、今週、徳光、双葉、御在所の第3回が放送される予定である)。

まだ間に合う。

しかし、本当に急いでくれ

 

 

チーム御在所

触れるタイミングを逸して、最後になってしまったが、このチームもこのチームで独特「つぶやき」の使い方をしている

というか、彼女たち自体、5つのチームの中ではちょっと独特である。

彼女たちは、カグラヤ怪奇探偵団を名乗っており、実は、ガルラジでの活動以外に、怪奇事件を解決するという活動を行っている。

このガルラジ世界の中におけるインターネットでは、カグラヤ怪奇探偵団というのは、有名なwebサイトとその運営者らしいのだ。

番組中では、探偵団としての活動内容はあまり話されていないが、「つぶやき」の方を見ると、彼女たちが事件を手掛けていく様子が垣間見えるようになっている。

「つぶやき」だけで、一つ別の物語ができているのでは、と思わせるという意味では、チーム御在所が、もっとも「つぶやき」の情報量が多いといってもいいかもしれない。

一方で、他のチームのような、キャラクターの普段のやり取りが見え隠れするような感じではないので(これはこれで、チーム御在所の普段の感じなのかもしれないが)、他のチームと少し雰囲気が違うのである。

そもそも、「ネット上で怪奇事件を募りそれを解決している」という設定自体、他のチームと比べて、言ってみれば、フィクションの度合いの高い3人組である。

ただ、番組の方は必ずしもそうではなく(むしろチーム徳光の方が、ドラマチックな展開をしているという点でフィクション度合いが高い)、そのあたりに妙なギャップのあるチームだが、つぶやきもまたちょっと独特なところがあると言えるだろう。

 

タイムスタンプのなさ

タイムスタンプがないがゆえに、今まさに追っていかないと、そのリアルタイム感が得られない、という特徴を持っている、というのはすでに述べたところだし、多くのガルラジリスナーが声を大にして、できるだけ早くガルラジに触れるべきだと叫ぶ理由ともなっている。

ところで、このタイムスタンプのなさ、というのはしかし、それ以外にも効き目のある仕掛けなのではないだろうか、というのをぼんやりと考えている。

タイムスタンプがないことで、現実とのリンクを免れている。

この作品、非常にラジオ番組っぽい演出や、ポイント制による一種のサバイバル、そして「つぶやき」などから、ある種のリアリティみたいなのが立ち上がっているわけだが、しかしこれ、ある種のARっぽさと捉えるか、VRっぽさと捉えるかという問題があるように思える。

というか、上述の特徴は、ARっぽさとして捉えられるものだと思う。

つまり、現実とフィクションとを併存させ、現実とフィクションとをリンクさせているようなものではないか、と。

しかし、一方でこのコンテンツは、作りこまれた物語作品でもある。

それで考えているのは、現実とリンクすることでリアリティを得ているというより、現実を模倣・擬装・エミュレートすることでリアリティを得ているのではないか、と。

ラジオ番組の擬装であり、SNSの模倣である。

何が言いたいかというと、ガルラジは、現実世界から切り離されても成立しているということだ。

タイムスタンプがないからこそ、現実世界の日時と関係なく、彼女たちのつぶやきは存在しうる。

そして、もう一つの懸念は、現実世界のリスナー(つまり我々)のリアクションは、どれくらい反映されるのだろうか、という点である。

メールを募集していることやポイント制を敷いていることは、リスナー参加型コンテンツであることを期待させるものである(リスナーの参加は現実とのリンクになる)

ただ、公式アプリから回答できるアンケートは、一つのチーム内で、どの評価が多かったかというのは分かっても、それぞれのチームがどれくらいの評価を集めたのか、他のチームと比較できるような数値は公開されていない。

物語の展開は既にある程度定まっていて、現実のリスナーからのアンケート結果とは無関係に、すでにランキングの推移は組み立てられているのではないか、という想像も成り立つ。

そして、これはほとんど確かめようがない。

 

もっとも、このように考えたときに、際立ってくるのは、むろん藤田さんの存在であり、そして、twitter検索「お寿司ボート」なのである。