プリズムの煌めきの向こう側へ

二次元アイドル・アニメ・声優あたりの話題中心で、主に備忘用のメモ

吉井彩実さんについて

声優の吉井彩実さんが、今年3月で健康上の理由から、声優活動・芸能活動を引退することを発表した。

自分は特別吉井さん推しだったというわけではなく、特段何かコメントできるほどの者でもないのだが、ちょっとだけ。

ameblo.jp



吉井さんは、ナナシス上杉・ウエバス・キョーコ役、およびエビストの水瀬鈴音役で知られる。

両方知っているという人も多いと思うのだが、キョーコは知っているが鈴音は(あまり)知らないという人もまた多いのではないかと思う。

今回の記事は、キョーコしか知らない人に、鈴音もいいぞと薦めるのが主な目的である。


キョーコというキャラクターは、身も蓋もなくいってしまえば、典型的なツンデレキャラである。

個人的な好みの話をしてしまうとツンデレがあまり刺さらないので、キョーコについてもさほど……というのが正直なところであった。

そしてもう一つ、個人的な見解を付け加えると、吉井さんの声が本領発揮されるのはツンデレではないのではないか、と。


エビストは、ナナシスよりも遅れてサービスインしたアプリゲームで、これまた身も蓋もなく言ってしまえば、「超人気声優を起用!」とか一切なく、新人声優をキャストとして集めており、人の名前で話題になるアプリではない。

が、吉井さんがキャストのひとりとして入っていたこともあってか、ナナシスの界隈ではエビストを始める人たちが多かった印象がある。

自分もまた、そうした流れでエビストを始めた。

 

で、吉井さんの演じる鈴音なのだが、こちらは、キョーコと打って変わって、大人しめで、元気系の主人公に引っ張ってもらう系のキャラだ。

声としては、ウィスパーボイスっぽい声で話す。

これがとてもいいのだ!

「いや、それはお前の好みだろ」と言われれば「はい、その通りです」と返すしかないのだが、柔らかな声でささやくように話しかけてくる声を魅力的に思わない人はいないはず。

もし、キョーコでしか吉井さんの声を聞いたことがない人は、是非鈴音も聞いてほしいのだ。

キョーコとはまた違った吉井さんを聞くことができるから。

 

キョーコではピンと来ていなかった自分だが、エビストでは完全に鈴音推しで、吉井さんのことを改めて気にするようになったところはある。

また、キョーコと鈴音は全く違うキャラクターであり、声の出し方やしゃべり方も異なるのだけど、そうは言っても、声を出しているのは同じ人、鈴音とも通じる吉井さんの声色みたいなものが、わかってくるようになった。

正直な話をしてしまうと、最初の頃、キョーコについては、あまりにもテンプレなツンデレすぎて、その個性が全然わかっていなかった。はっきり言ってしまえば、アイマスの伊織のパクリっぽい感じだなくらいに思っていた時期もあった、本当に最初の頃は。

しかし、鈴音を知ることによって、吉井さんの声の特徴がわかってくると、キョーコの声の個性もわかってくるようになった気がする。

吉井さんの声はおそらく、芯の強い声というよりもむしろ、繊細な声として特徴付けられるものではないかと思う。

それともう一つウィスパーっぽさというもある。音域は高めなんだけど、単純に甲高いというよりは、ちょっと鼻にかかったような声が混じっている感じというか。それが、鈴音みたくウィスパーっぽい話し方で息が多めに入ってくるようになると増幅されるというか。

 

で、

この声を聞くにあたっては、キャラクターボイスだけでなく、歌も非常に魅力的

とりあえず、鈴音のソロ曲の「三日月どりーむ」や、あるいはソロ曲ではないが「Sugar Sugar Bee」あたりは、わかりやすいところだと思う。

「三日月どりーむ」はライブ映像も見れるなら見てもらえると、振り付けがめちゃくちゃかわいいです。

この2曲は、ウィスパーな感じで繊細でありながらも柔らかいという特徴が、よく出ているのではないかと思う。


三日月どりーむ【8 beat Story】【8/pLanet!!】


Sugar Sugar Bee【8 beat Story】【8/pLanet!!】

 

さて、こうした歌声はキョーコの方でも感じられるところである。

Le☆S☆Caの「タンポポ」や「ひまわりのストーリー」を聞いてほしいのだけど

キョーコは気の強いキャラクターであるけれど、歌声は、そうした気の強さを反映した強い声、では必ずしもなくて、そっと声を置くような繊細な歌になっている。


【Tokyo 7th シスターズ】Le☆S☆Ca 2nd Single「トワイライト」Trailer


【Tokyo 7th シスターズ】3rd Album「THE STRAIGHT LIGHT」Trailer

(「ひまわりのストーリー」はこのアルバムトレーラー映像の4:10あたりから)

 

Le☆S☆Caの3人って歌声のバランスという意味では、すごいユニットだなと思っていて、青春微炭酸系ユニットですって言っておきながら(?)、日常系アニメのOPとかによくある女性声優数人組ユニットにいそうな声質の人が、微妙にいない。

つまり、音域高めで芯の強い明るい感じの、いわゆるメインヒロインポジション声

そのポジションは、レナ役の藤田茜が担っているとはいえるんだけど、そんなに高い声という感じではない。

「この声とこの声とこの声の組み合わせなの?! すげー」みたいなのが、Le☆S☆Caにはあると思う。

それって、やはり吉井さんが、単純にキョーコというキャラクターの類型的な部分から思い浮かぶ声(=高くて強い声)の持ち主、というわけではなくて、繊細さ、柔らかさを備えた声を持っているからこそ、だと思う。

 

で、Le☆S☆Caは、極端な例だと「なんでそんな低音を歌わせようとする?」と思わざるを得ない「トワイライト」みたいな歌の印象が強くて、高い音域の歌があまりないという気がしているのだけど、エビストの方だと逆に高音域の歌を聞くことができる。

吉井さんの繊細な声は、高音の方にいくことで、ハニプラのエモい声担当になっているように思う。

たとえば「Minus」や「Outer Existence」

エビストでは、神楽月役の吉岡美咲が、完全に「強い声」の人で、歌もうまいし、これらの曲の主軸を担っているとは思うのだが、吉井さんの振り絞るような高い歌声は、声の強さだけでは生み出せない《エモさ》を、これらの曲に加えていると思う。

エビスト曲の売りは、エモさだと勝手に思っているので、そこを支えていると思う。


Minus【8 beat Story】【8/pLanet!!】


Outer Existence【8 beat Story】【8/pLanet!!】



吉井さんの引退のニュースを知って以降、ナナシスとエビストでの吉井さんの歌を聞き返したりしているのだけど、やはり、引退は惜しいなあと思う。



吉井さんの声や演技に、他の人に代えがたい魅力が確かにあった。

キョーコや鈴音という一キャラクターだけでなく、Le☆S☆Caや8/Planetというユニット全体の魅力につながるような、重要なポイントを担っていたと思う。

 

キョーコも鈴音も、新キャストへと交代することになっており、近いうちに誰になるかも発表されることだろう。

新キャストによるキョーコや鈴音もまた、キョーコや鈴音であることには変わりなく、新キャストの方も魅力ある演技や歌を見せてくれることだろう。

だからこそ、今のうちに精一杯、吉井さんの引退を惜しんでおきたいと思う。