おおお、ついに完結したあああ
原作未読なおかつアニメも配信の度、その都度視聴しているだけなので、全体を通してのコメントはできない。完結編・後編についてのみコメントする。
この作品の性質上、最後まで見た後、また最初から見通すというのがより適切な鑑賞かなあとは思うのだけど、そういう体力・気力・時間がないです……。
そ、そういう終わり方か、エンドロールっ!
っていう感じなんだけど、順を追っていこう。
アクション的には、エレンが変形した巨大な骨格上での戦闘シーンが中心となる。
リヴァイやライナー含む調査兵団生き残り勢とピークが、オニャンコポンの操縦する航空機で、獣の巨人が待ち受ける骨の上へと降下する。
獣の巨人の内部にジークはおらず、というか、中身空っぽで過去の様々な巨人が次々と生み出されてくる。過去に戦ったあいつやあいつが再び敵としてあるいは敵となって襲いかかってくる、そればかりか、今まで見たことない、歴史の中で失われた巨人まで再現されて襲いかかってくる。まさにラスボス戦といったおもむき。
さらに、もはやこれまでかと思われた時に、空飛ぶ巨人となったファルコが、アニとガビとともに現れる。
立体機動装置組と巨人組が、巨大な骨格という足場の悪い中で共闘する。
少し立場の違うピークが「(エレンと)お友達じゃないんでね」とか「立体起動装置使えたらなー」とか言ったりしているのも、なかなかよい。
アルミンがさらわれていて、アルミンを追いかけて後方へ行く組と、エレンを倒すために前方へ行く組に分かれて戦う。
オカピの巨人って、なんでオカピ
話のあらすじを全部書くのも大変なのでそのあたりは省略してしまうことにして。
今回の話の肝は、アルミンとミカサ(そしてユミル)だろう。
まず、アルミン
あのエルディア人全てが繋がっている謎空間でジークと会話する。
生命の目的はただ増えることでしかなくて、そんなことに生きる意味ってあるのか、死んでしまった方がよくないかと問いかけるジークに対して、子どもの頃に3人で走った時のことを思い出すアルミン。「今こうして走るために生まれてきたんだ、と思った」
ジークもジークで、子ども時代のキャッチボールを思い出して、ただ投げてるだけでよかったんだと思い出す。
このあたり見ていて、「うあー美的生活の価値じゃん」と思ってしまった。
美的生活と言ってしまっていいかどうかは検討の余地があるものの、人生の意味とか生きる理由とか理想の生とかに、理性的なものではなく感性的なもので応答しようとしているよなあと思う。
それからアルミンについてはもう一つ。
エレンに対して、一緒に罪を負うよといった下りは、素直に泣いた
その直前の、エレンの「10年くらいひきずっててほしい」には思わず笑ってしまったけど、だからこそ全体として、エレンとアルミンの会話は名シーンだった。
そしてミカサなのだが、
アルミンについては、正直分かりやすかったのに対して、ミカサ(とユミル)については正直、一見してよく分からなかった。
いや、物語の展開として、ミカサがエレンにとどめをさす。それを(未来の記憶として)見ていたユミルがミカサに希望を見いだす、というのが分かるのだけど、ミカサやユミルの心の動きみたいなのが、ちゃんと分かった感じがしなかった。
ユミルにはミカサに対して、1人の男を破滅的なまでに愛してしまったことへの共感があるのかなと思ったのだが。
という感想を、一緒に見ていた妻と話していたら、妻が色々とググって「こういう解釈があるようだよ」と教えてくれたのは、ユミルは愛した人に愛された状態で死にたかった。そして、あの段階でユミルはエレンと同化していたので、ミカサに愛された状態でとどめをさされることが救済だったのではないか、と。
これは納得感のある解釈だと思った。
あとはミカサ側のこと。
最後までエレンを殺さずに助けることを求め続けた彼女が、最後にはエレンにとどめをさすことになる。その背景として、ifルートみたいな世界でエレンが「俺が死んだ後はそのマフラーは捨ててくれ」と伝えたシーンがあって、というところは分かるんだけど。
エレン-アルミンとは違う形で、エレン-ミカサの信頼関係があって、死でも分かたれない絆があることをミカサが確信したのかな、とも思うのだけど、ミカサがエレンを斬ることが、エレン=ユミルの避けがたい結末であり救済であるということについてのミカサの受容というのは、想像を絶するんだよな。
まあ、人類8割の殺害についての罪を一緒に背負う覚悟も、本来は想像を絶するといえば絶するんだけど、アルミンの心の動きとしては理解も共感もできる。エレンにあんなに泣かれちゃあな、という。「引きずっててほしい」もそうだが「死にたくない」と叫ぶエレンと寄り添うにはあれしかなったわけだし。
人類8割の命とエレンの命を天秤にかけたとき、躊躇なくエレンの命を選ぶのがミカサで、人類8割のことも救いたいと思うのがアルミンで、だからこそ、人類8割についての責任をエレンと一緒に負うのはアルミンでないといけなくて、ミカサがエレンを手にかける必要もあったのか(物語上の構造としては)。
ユミルについては、大雑把にどんな話だったかは見ながら思い出したけど、ディテール忘れちゃってるから、うーんまあそんな感じかーという大雑把な感想になってしまう。
さて、『進撃の巨人』は、3人の幼なじみの関係から始まった物語が、3人の幼なじみの関係として終息するという形で一つまとめることができるが、
この作品の優れたところは「だが、地獄は終わらない」ということだろう。
しかし、バッドエンドというわけでもなく、また、いわゆるメリーバッドエンドというわけでもない。
人類が人類である限り、争いはなくすことができないかもしれない、地獄は何度でもやってくるという諦念がある一方で、しかし、その地獄を止めることはできる、また地獄がやってきたらまたその地獄に立ち向かっていけばいいだけだ、という楽観もある。
この諦念と楽観は両立しうるのだ、と。
まあ、パラディ島に再び向かうアルミンたちを見ると、楽観と希望もあるエンディングなんだけど、その後のエンドロールの「うわあ、まじかあ、結局そうなっちゃうのかあ、繰り返すのかあ」感はなかなか非道いなと思うが、『進撃の巨人』という作品のすごいバランス感覚を見る思いでもある。
それはそれとして、ユダヤ人ゲットーを露骨に想起させる設定をもつこの作品が、このような結末で終わることは、今現実の世界で起きている地獄についても思いを向けさせるものだと思う。
原作自体はもっと前に終わっているので、この結末について現実世界の出来事からの直接の影響はないが、しかし、パレスチナ問題のことを全く念頭におかずに書かれたわけでもないだろう。
もちろん、イスラエルとパラディー島のエルディア国は同一視できるようなものではないし、本作に政治的メタファーを読み込むには慎重になる必要があるが、諦念と楽観は両立しうるということが、現実世界にとっても意味あることでほしいと思う。
『進撃の巨人』は、表面的にはSFではないけれど、色々とSF的なアイデアが展開されている作品でもある。
例えば、壁の向こう側に別の世界が広がっていることが明らかになったくだりなど、ガジェット的にはSFではないけれど、マインド的にはSFかなと思う。
そして、完結編の場合、(それ以前から明らかになっている設定だけれど)全ての記憶が一挙に見えているエレンのあり方は、例えば「あなたの人生の物語」に通じるような設定で、やはりSFマインドがあると思う。
この設定が物語にとってどのように効いているのかは、この設定を分かった上で最初から見直し・読み直していかないといけない気がするので、今の自分には手に負えない話題だけれども、エレンの語る「自由」というのはこの観点から捉えないといけないよな、と思う。
過去の感想コメントをかきあつめてみた。
2017春アニメ中間 - プリズムの煌めきの向こう側へ
原作未読につき、わりと毎週、展開に驚かされている。前シリーズで構築されたこの作品世界の常識的なものを突き崩されている感じというか。
すごい勢いで話が進行していっている感じと同時に謎がどんどん積み上がっている感じ。
さっきまで勇ましく戦っていた調査兵団の人が、いざ巨人に捕まって食われる段になると無様なまでに怯える様子を容赦なく描いているのがなかなかエグい(この作品らしさだと思う)。
やっぱり、井上麻里奈のナレーションがいいですね。
クリスタってみかしーかーと思いながら見てたけど、全然別件で自分の過去ログ見てたら、「みかしーはクリスタ」っていう謎のメモが出てきた
2018夏アニメ - プリズムの煌めきの向こう側へ
2クールの半分
原作未読勢なので、調査兵団が反政府ゲリラっぽくなったり、クーデター成功させたり、王家とヒストリアの秘密が分かったりと、色々あって楽しかった
すっかり主人公が、エレンからヒストリアに移り変わってる気がする
アッカーマン家の話とか
というか、ケニーの過去話とか面白かったなあ。
2018秋アニメ初動 - プリズムの煌めきの向こう側へ
継続
こちらも、OP・ED変わらず
作中では4か月しか時間経ってないのかー
いよいよ大攻勢、なるか
2019春アニメ - プリズムの煌めきの向こう側へ
いよいよ色々なことが明らかになった
壁ってユダヤ人ゲットーのことだったのかー
2021冬アニメ&2021春アニメ初動 - プリズムの煌めきの向こう側へ
配信が75話までだけど、これの続きはいつくるの?
この終わったのか終わってないのかよくわらかんみたいなのが、冬アニメ多くてブログ書けてなかった
進撃のファイナルシーズンめちゃくちゃ面白い
明らかにナチス支配下のユダヤ人ゲットーを元にした街が出てくるわけだが、物語上の対立軸は、同じ民族内のイデオロギー対立なのかなという感じ
イエーガー兄弟の思想が反出世主義だと話題(?)だったけど、実際言葉のチョイスは反出世主義のそれっぽいところがあるが、一方で人類全体ではなくエルディア人を対象にしてるので完全に絶滅政策じゃんという話もあり。あくまでもエルディア人自身の中からでてきてる話だから、物語として成り立つのかなと。
ガビも同様。
2022冬アニメ - プリズムの煌めきの向こう側へ
進撃は、シーズンとシーズンとの間が空くので(そりゃまあ制作上仕方ないが)、話の細かいとこ忘れ気味になってしまって辛いが、まあとにかく楽しみではある
進撃の巨人S5 - プリズムの煌めきの向こう側へ
見終わった
とりま、その記録のみ
毎回毎回、すげーって感嘆しながら見ていた