まだ自分は、このアルバムをレビューできるほど聞いているとは言えないが、一応記録に残しておこうかと記事をたてる。
待望の、と書いたが、これはなかなか「待望の」と一言では言い難いものが実はあると思う
2016年12月にリリースされた『RefRain』は、めちゃくちゃ完成度の高いアルバムで、そのアルバムで(つまりその複数の曲のセットで)一つの作品、完成された世界というものだった。
上田麗奈という人が、なんというかこういうあまりに陳腐な言い方になってはしまうが、ある意味で「役者っぽい」ともいえる「独特のセンス」を持った人、というのはラジオなどでの彼女のトークから垣間見えるところではあったけれど、これほどまでに「個性」をだしたアーティストデビューになるとは思っていなかった。
そもそも、あのタイミングで、上田麗奈のアーティストデビューは「え、今?」という印象はなきにしもあらずで、実際その後、『メルヘンメドヘン』のタイアップまで歌手活動はいったん途絶える。
RefRainはめちゃくちゃよい作品で、好きな曲も多いのだけど、聞くのに結構エネルギーが要る。
自分は、新しく音源を手に入れると、そのまま最近追加した曲プレイリストに入れ、作業用BGMとしてテキトーに回す、ということをするのだが、正直、RefRainはそれが全然できないものだった。
ニューアルバムのプロモーションとして、一番最初に耳にしたのがこの曲だった。
RefRainの時から一転した明るめの曲調で、ある意味で、かなりイージーに聞きまわすこともできそうな曲
ORESAMAの作詞作曲で、かなりよい曲
正直、これだって声優アーティスト曲としてめちゃくちゃクオリティ高いし、アーティスト性高いとは思うが、一方で、良くも悪くも、RefRainほど尖ってはいないかも、とは思った。既に述べたように、RefRainは聞くのにかなりエネルギーを使い、気軽に聞けないので、この場合、丸くなるのは必ずしも悪いことではないけれど。
で、続いて公開されたのがこれ。
LUCKY TAPEのKai Takahashi作曲・編曲(作詞は上田麗奈)
LUCKY TAPE全然知らんかったけど、これきっかけでアルバム2枚ほどプレイリストに突っ込んでおいた。
さて、実際のアルバムでは、アイオライトが1曲目、あまい夢が2曲目
なるほど、こういう路線でいくのねーと思っていたら、Fallingが続く
この曲、上田麗奈の声がサンプリング音源として使われた石川智久*2によるインスト曲で、歌ものではない。
ここでいきなりアルバムの雰囲気が変化する。
というわけで、『Empathy』は、『RefRain』と比べて聞きやすさは格段にあがりつつも、しかし一方で、『RefRain』路線を決して手放したわけではなく、アーティスト上田麗奈としての個性もまたガンガンに聞かせていく、というすげーアルバムだった。
(そういえば、と思って、アルバムのプロデューサー・ディレクターを確認してみたら、RefRainはランティス保坂拓也、Empathyは、バンナム臼倉竜太郎&萩原瑠唯とのこと)。
もうちょっというと、M3.FallingとM7.Anotherが同じ趣向の曲で、アルバムは大きく3つに分けられている
M4.ティーカップ、M5.いつか、また、M6.きみどりは、冒頭2曲とはまた趣向を変えつつ、まだ明るめの曲
M8.aquarium、M9.旋律の糸、M10.Campanulaが、ストリングスやピアノなどを用いた静かめの曲で、特にaquariumと旋律の糸は、曲調的にはRefRainからもつながるところはあるかと
最後、11曲目のWalk on your sideはこれらすべてを受けて大団円(?)
ティーカップが広川恵一、Walk on your sideが田中秀和とMONACA組が2人いるが、今回は聞きやすい(?)曲組だなという印象*3
よい曲という点では、11曲それぞれによさがあるが、一聴した時にぐいと印象に残ったのは「いつか、また」と「aquarium」だった
これらは、声優上田麗奈だぞ、というのが歌い方にこめられているというか
役者だからこそ、あるいは上田麗奈だからこその声の出し方・歌い方をしている曲だったと思う
「いつか、また」の落ちサビのところ、こういう歌い方ありなんだ、と最初に聞いたとき、驚かされた
「aquarium」は、上田麗奈の声質(単にかわいい女の子の声ってわけじゃなくて力強さ・エモさのある感じ)がよく出ている。ロングトーンとか。
とまあ、前置きの方が長くなった感じするけれど、この2曲の最初に聞いたときの印象をメモしておきたかった、という趣旨の記事でした
*1:正確にいうと、RefRainはミニアルバム、今回はフルアルバムということなので、1st、2ndというナンバリング表記はされていないみたいだけど
*2:石川はこれ以外に、M7.Another、M9.旋律の糸の作編曲を担当。RefRainで全曲の作詞を担当(上田と共作)していた松田洋平とともにTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの人
*3:田中はRefRainではワタシ*ドリというこれまたなかなか独特の曲担当だった